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活動2年、世界遺産での個展が2万人を魅了。アートはジェンダーの壁を超える。

活動2年、世界遺産での個展が2万人を魅了。アートはジェンダーの壁を超える。

#TREND
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう

“会ったときに女の人・男の人だと思って無意識に選ぶからいけない。好きになった人がたまたま女性だった、たまたま男性だったという感覚を持っていないと僕は駄目だと思う” SETSUO KANO 
突然ですが、皆さんは近年脚光を浴びている新進気鋭のアーティストSETSUO KANO氏をご存じでしょうか。KANO氏は、約2年前から日本を拠点に活動を始めました。その作品は、自身の哲学である「無常」の世界を描いており、息をのむような圧巻の迫力を持っています。現在では、活動期間の短さにもかかわらず、昨年には京都の世界遺産・寺院で個展を開催し2万人を動員するなど注目を集めています。今回はその作品と取り組みの一部をご紹介いたします。
実は、KANO氏の作品は全て水性マジックインクのみで描かれています。その理由は、「体験」をとても大事にしているからだといいます。KANO氏はこれまで、世界中を旅してきたなかで、貧富の差を目にし、自分に何ができるか。と考えたときに、これであれば世界のどこにいても安価で手に取りやすいと考えたようです。

自分で見て考えるということ

皆さんはこの作品を見て何を想い、何を感じるでしょうか。
この作品は和紙を黒塗りにし、白一色で描かれています。この書き方について、KANO氏は「白一色で書いているのは、想像力を働かせて自由に見てほしいから」と述べています。私たちは、カラフルな色彩が施されたものを見ると、どうしてもその世界観を考察せずにそのまま受け入れてしまいます。しかし、KANO氏はそれでは意味がないといいます。他の物に影響されずに自分が「良いな」「好きだな」と思うための審美眼を身に着けてほしい。そんな想いが込められています。そのため、作品にはタイトルもつけられていません。

アートはジェンダーの壁を超える?

また、KANO氏は「男と女の感覚をいかに外すかといったときに、外す方法は芸術しかない」と述べます。ジェンダーの枠を超えて性を表現できるのは、言語ではなく美学の世界であり、それらを見極める目を養うのが芸術である。つまり、アートにはバイアス無しで物事を考える力を養うことができると言えます。
KANO氏の作品にはそういった美学を養う力が本当にあるように思えます。これはどういう作品なのか、どんな意味があるのか、自分だったらなにを連想させるか。作品に集中して、自分の力で考える。そういう風に作品を見てほしいとKANO氏はいいます。
最後に
とは言いつつも、バイアス無しで物事をとらえるのは難しいですよね。人は無意識に「こうあるべき」「これが普通」といった思考をしてしまいます。近年、課題として話題にあがる同性婚や共働きといった新しいスタイルも、こういったステレオタイプの問題による弊害が見られます。
子どものころからそういったステレオタイプを生まないことが重要になっている中で、それらを正しく受け取れない、そういう環境が金銭的にない、というケースが存在しています。この問題を総称する「体験格差」を調査した公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンのデータによると、世帯年収が「300万円未満」の家庭の子どもでは、約3人に1人が、学校外で行う「体験活動」に参加出来ていないようです。
小さい頃の経験はその後の人生を大きく左右します。これを機に、教育の世界でもアートを取り入れて、自分で考えそして美しいと思うもの、好きなものを実際に描いてみる。というバイアス無しで物事を考えるトレーニングを詰むための体験を取り入れてみても良いかもしれませんね。

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