3月8日は国際女性デー。ジェンダーギャップについての関心度も高まる月であり、卒業シーズンでもあります。しかし、ジェンダーマイノリティのエンパワーメントを発信した新聞広告への賛否や、同性婚や公共トイレにまつわる行政の動きへの不安の声などをみると、本質的な課題認識がなかなか社会に浸透してないこともわかります。
そんな中で、東京藝術大学の大学院生の「風の噂」という修了作品がTwitterで7万いいねの話題になりました。一見、鮮やかな抽選器ですが、実は2022年に報道された性暴力被害の記事に対する、ネットコメントから集めた「被害者を形容する言葉」がくじとして投入されています。周囲から与えられるイメージを選べない当事者の状況を追体験するくじ引きという行為を通して、“性暴力被害者を取り巻く社会の空気”を鑑賞者はどう感じたのでしょうか。
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※性暴力をテーマに扱った作品です。性暴力被害者を取り巻く社会の現状について伝える為に、作品内に二次加害的発言の描写があります。フラッシュバックなどの症状がある方が鑑賞を行う際には十分にお気を付けください。(作者キャプションより)
7万いいねの話題、記事へのネットコメントから集めた「被害者を形容する言葉」のくじ
このカラフルなくじには、何が書かれているのか想像がつくでしょうか。くじの中には「あなたには未来がある」という言葉もありました。鑑賞者多くの方に様々な感情を抱かせる、普段なら楽しいくじ引きという体験に化けたおぞましい抽選器です。