• トップ
  • 記事一覧
  • 献血でもらえるカイロがなぜか大人気!一方、国内献血協力者数は10年で31%減
TREND

献血でもらえるカイロがなぜか大人気!一方、国内献血協力者数は10年で31%減


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を
献血でもらえるカイロがなぜか大人気!一方、国内献血協力者数は10年で31%減

2023年2月13日に投稿され、今ではTwitterで4.8万いいねを獲得した「血液バッグ型エコカイロ」。投稿者の『献血で貯まったポイントで交換してもらったエコカイロ、めちゃくちゃ「攻めてる」ッ…』というツイートとともに、まるで本物の血液バッグのような手のひらサイズのカイロの画像が話題になりました。血液バッグ型カイロだけではなく血小板血液バッグ型キーホルダーなど、Twitter上で「ほしい!」との声が上がったこのグッズは、日本赤十字社が活動している献血の記念品なんです。

画像出典:渋谷ハチ公前献血ルーム公式Twitter @hachiko_room

日本赤十字社が運営する献血Web会員サービス「ラブラッド」から予約をし、献血を行うことで貯まったポイントでもらえる記念品で、今ではフリマサイトなどで転売までされるほどの人気に。そんな記念品で話題になった献血ですが、様々な理由で医療現場での血液不足が問題視されています。なぜ血液不足が起こっているのか、詳しくみていきましょう。

そもそもなぜ献血が必要?輸血血液の約半分は「輸血以外」にも使用

そもそも献血とは、治療や手術などで輸血※1や血漿分画製剤※2を必要としている患者さんに、健康な人の血液を無償で提供するボランティア活動です。献血で集められた血液は、けがをしたときの輸血に使われるイメージがある人も多いのではないでしょうか。実はそれは全体のわずかで、ほとんどはがんなどの病気の治療に使われています
※1:赤血球、血小板などの機能が低下したり、量が減少した時に補充する治療法です。
※2:血漿分画製剤とは…血漿中に含まれる血液凝固因子、免疫グロブリン、アルブミンなどのたん白質を抽出・精製したものです。

画像出典:厚生労働省 「はたちの献血」キャンペーン

血液不足はなぜ起こる?日本の献血協力者数は10年で31%減

日本赤十字社によると、10代~30代の献血者数の推移は年々減少傾向にあり、10年間では約31%も減少しているそうです。

画像出典:日本赤十字社

コロナウイルスの影響により外出する機会が減ったことや、献血に関する知識や理解がなかなか進まず若者の献血離れが加速していること、さらに少子高齢化による人口減少により、献血者数が減少していると問題視されています。厚生労働省によると、仕事や家事で献血の時間を確保できない等の理由から、20代~30代前半の年代の献血率は減少傾向にあると発表しています。

血液不足を加速させる、若者の献血離れと少子高齢化の実態

上記でも述べたように、現在、日本では少子高齢社会が深刻な問題となっています。そんな中で、輸血などに必要な血液のほとんどは、高齢者の医療に使用されている現状です。日本赤十字社によると、輸血を受けている50歳以上が約85%を占める一方で、献血により血液を提供する年代は約76%が50歳未満かつ、うち16歳~29歳が約25%と、若い世代が献血を支えています。今後日本の少子高齢社会が進むことで、輸血医療に大きな支障をきたすことが懸念されています。

血液の有効期限は最短「4日」、1日あたり約14,000人の献血が必要

厚生労働省によると、必要献血者延べ人数は2027年に約545万人と過去最大となることが予想されています。つまり、献血者延べ人数が約85万人も不足するということになります。その一方で、輸血に使用する血液は人工的に製造することができず、さらに血液には生きている細胞が必要不可欠のため、血小板は採血後4日間しか保存ができないことから、血液を長期間保存することもできません。
また近年では、献血された血液から作られ免疫に関係する病気の治療薬として幅広く使われている「免疫グロブリン製剤」の需要が高まっている背景から、日々安定した血液の確保が必要であり、そのためには1日あたり約14,000人の献血が必要とされています。

国民的ヒーローのウルトラマンも応援「生きる力を、シェアしよう!」

画像出典:「はたちの献血」キャンペーン

今の日本では様々な社会問題が挙げられていますが、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」の中には、「2030年までに、予防や治療をすすめ、感染症以外の病気で人々が早く命を失う割合を3分の1減らす」と具体的に示しています。血液不足が深刻化する中で、今後は若者の献血への理解と、実際に献血を行う行動力が鍵となるでしょう。
風邪やインフルエンザなど時期的要因で献血者が減少しがちと言われているこの季節。日本赤十字社では1月1日から2月28日まで、キャンペーンキャラクターに女優の髙橋ひかるさんと、国民的ヒーローのウルトラマンを迎え「はたちの献血」キャンペーンを全国で展開していました。「生きる力を、シェアしよう!」というキャッチコピーにもあるように、成人を迎える若者を中心に献血への理解と協力を呼びかけています。まだ献血をしたことがない方は、この機会にぜひ1度献血に足を運んでみてはいかがでしょうか?