• トップ
  • 記事一覧
  • WHOも指摘するストレス。アートが解決策の一つに?臨床美術の世界。
TREND

WHOも指摘するストレス。アートが解決策の一つに?臨床美術の世界。


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を
WHOも指摘するストレス。アートが解決策の一つに?臨床美術の世界。

「ストレスが全くない」という人は、この現代においてマイノリティでしょう。慌ただしく今の時代を生きる私たちは、誰しもメンタルヘルスを損なう恐れがあると言っても過言ではありません。WHO(世界保健機関)も、ストレスは健康を害する恐れがあり、社会問題であると捉えています。
※国際連合の専門機関の一つであり、人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された機関。
ストレスケアの方法として、近年注目されているのがアートセラピー。
今回は、誰でもすぐに始められるアートセラピーの魅力をご紹介したいと思います。

ストレスを解放!クリエイティブなアウトプットの魅力

ストレスが原因で心の健康に問題を抱えてしまったり、体調を崩してしまったりと、仕事や生活がスムーズに行かず辛い思いをしている人が少なくありません。そんな中、今世界中で注目されているのがアートセラピーです。日本では、臨床美術という言葉も広がりつつあります。

アートセラピーや臨床美術は、芸術に触れて自分自身もクリエイティブなアウトプットをすることで、ストレスを緩和する効果が期待されているアプローチです。メンタルケアの方法としてよく知られている認知行動療法でも、心を整理するために、状況を書き出してアウトプットをします。
ストレスを抱える傾向にある人は、人の言葉や起こった出来事について考えこみ、内に溜め込みがちであるため、インプットばかりではなくアウトプットをすることが、ストレスケアにおいて重要なポイントだといえるでしょう。
言葉で表現することには抵抗がある人でもトライしやすいはず。さらに、内に秘めた思いを作品として昇華させることで、思わぬ傑作が誕生するかもしれません。
何よりアートでのアウトプットは、楽しみながらできるのが魅力。また、他者と作品を共有し、感想を伝え合うことで、自分自身と他者の個性を尊重することに繋がります。

今すぐできる!身近なものから生まれるアート3選

ストレスケアにクリエイティブなアウトプットがよいと言えど、アートと聞くとハードルが高いと感じるかもしれません。でも実は、アートは身近なものから生まれるもの。美術とは縁遠い人でも気軽に始められる、楽しいアートをご紹介しましょう。

1.丸シールアート

画像出典:YUKINO OHMURA氏インスタグラム(@ yukino_ohmura

学校や会社でなじみのある、丸シール。色や大きさの異なる丸シールを用いて、風景画やポップな人物画を作ることができます。
丸シールアートで一躍有名になったのが、YUKINO OHMURA氏。ブラックやネイビーなどのダークトーンの背景から、ライトが浮かび上がるような幻想的な作品で話題に。100円ショップでも購入できる素材ながら、決してチープに感じさせず、絵画のような美しさで人々を魅了しています。
丸シールアートはシールを貼るだけで完成するので、子どもから高齢者まで、誰でも挑戦しやすいのが魅力。絵具などのように汚れやコストが気になることもないので、気軽に始めてみてはいかがでしょうか。

水性マジックペン画

画像出典:MUJO京都評議会

誰もが使ったことがある水性マジックペンでも、迫力のあるアート作品が作れます。水墨画のごとく繊細な画から、屏風に描かれるような力強い画まで、身近な水性マジックだけで表現するSETSUO KANO氏。見る者それぞれにストーリーを想像させ、心を動かすKANO氏の作品は、アートの威力と美学を教えてくれます。
身近ながら、限りない可能性を秘めた水性マジックペン。まずは自宅にある水性マジックペンを手に取り、美しいと思うもの、好きなものを描いてみてはいかがでしょうか。

ゴミ拾いからアートへ

海洋ゴミが問題視されているのは知っていても、海ゴミアーティスト・あやお氏の作品は見たことがない人が多いかもしれません。
石川県加賀市で暮らし、海洋ゴミを拾い続けているあやお氏は、海洋ゴミから希望や楽しさで溢れたアート作品を生み出しています。手がける海ゴミアートは、漁網の処分に多額の費用がかかることをはじめ、海洋ゴミのさまざまな問題を発信するきっかけ作りになっているそう。
コストがかからないだけでなく、地球をきれいにしながら問題を知ることに繋がるアート。あなたが拾ったゴミが、アートへの道を開いてくれるかもしれません。

展示会に行ってクリエイティビティを高めて

先に紹介したSETSUO KANO氏による水性マジックペン画は、「MUJO」展で実際に見ることができます。「MUJO」展は2022年7月19日(火)より8月26日(金)まで、真言宗総本山 教王護国寺「東寺」を皮切りに、真言宗御室派総本山「仁和寺」などにて開催。
無常の世界を描くSETSUO KANOが、密教の世界を伝えたかった空海や武士の精神にまで繋がる約50作品を手がけ、京都の世界遺産・国宝寺院を彩ります。ぜひ、自身の目で圧巻の水性マジックアートを見てみてください。

実物のアートを目にすることで、創造性や感性が磨かれ、創作意欲も湧いてくるはず。クリエイティブなアウトプットの第一歩として、「MUJO」展に出かけてみてはいかがでしょうか。