大切なのは、人の“困っている”に対して感性を研ぎ澄ませて向き合うこと
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2022年12月24日(土)、SDGs MAGAZINEはアストラゼネカグループの希少疾患部門アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズの日本法人であるアレクシオンファーマ合同会社と共に、一般の方へ希少疾患と共に生きる患者さんの疾患について知り、より理解を深めることができる機会をつくることを目的とした「希少疾患と社会、私たちが気づきあうためのヒント」を題した啓発イベントを開催しました。
オープニングでは、先天性骨形成不全症の難病を抱えながら、アニメ映画「もののけ姫」(宮崎駿監督)のテーマ曲などで知られる歌手の米良美一さんが「ホワイトクリスマス」を歌唱。米良さんの透き通った歌声が響きはじめると、会場は温かい空気に包まれました。
はじめに、アレクシオンファーマ合同会社 社長 笠茂公弘が、「クリスマスイブという大切な日にこのような啓発イベントを開催でき、大変嬉しいです。誰もが罹るかもしれない希少疾患や難病について考えたり、新たなことを知る機会にしていただけたらと思います」と挨拶を述べました。
続いて、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授の蟹江憲史先生が、「世界人助け指数」国別ランキング(チャリティーズエイド財団調べ)で、日本が最下位レベルであることに触れ、日本をもっと助け合いが生まれやすい社会にするために、ヘルプマークをはじめとする、さまざまなサインやマークを紹介。「必ずしも目には見えなくても、障害がある方はたくさんいます。それに“気づくこと”のきっかけの一つになるのが、このような「マーク」です。後ろを振り返って誰かが取り残されていないか、常に“気づくこと”を意識することが大切なのではないでしょうか」と提案しました。
次に、厚生労働省難病対策委員会委員長であり、関西電力病院特任院長、京都大学名誉教授の千葉 勉先生が、希少疾患の患者さんが直面する課題などについて次のように話しました。「約10,000種類の希少疾患があるなか、現在治療可能な疾患は5%のみです。疾患の認知度が低いために、専門医が少ない、診断に時間がかかる、生涯にわたって医療が必要になるなどの課題があります。しかし、希少疾患とはいえ、全体的には多くの患者さんがいらっしゃいます。米良さんのように得意なことを伸ばし、社会で活躍していらっしゃる方がいることは、患者さんへの力強いメッセージになると思います」
そして、幼少時に全身の骨が骨折を繰り返すという難病「先天性骨形成不全症」を患っていた米良美一さんは、「若いころは、自分を受け入れられなかったり、ネガティブな印象をもたれることが怖く、病気であることを隠していました。ですが、最近は“あるがまま”の自分を受け入れて前向きに生きています。わたしが思うのは、身障者と健常者という間だけではなく、困っている人に対して、感性を研ぎ澄ませて向き合えば、自然となにかできることがあるのではないかということです」と自身の経験を交えながら、より良い社会への願いを込めて語りました。
最後に、本イベントを通じて、さまざまな希少疾患を取り巻く社会の現状を知った小島奈津子さんは、「“まずは知ってください。そこから全てが始まるし、新しいアクションも思いつくようになる”と昔ある方に言われたことを思い出しました。できることは限られているかもしれませんが、米良さんがおっしゃったように、感性を研ぎ澄ませて、相手の心の声を聴く意識を持つことがあらためて大事だと感じました」と語り、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を実現し、誰一人取り残さない(no one will be left behind)社会を目指していくことの大切さを訴えました。
会場の展示コーナーでは、まだあまり知られていない希少疾患や、障がいを持つ方を表すさまざまなサポートマークやサインを楽しく覚えていただくためのクイズラリーを実施。多くの方々に体験いただきました。