ファーストリテイリングが目指す「LifeWear」とは?拡大するサステナビリティ活動
この記事に該当する目標
1秒あたり95着。1秒あたり15kg。
これは日本で捨てられている服についての数字です。ここまで読み進めていただいた間に既に、1000着近い服がここ日本だけで捨てられています。世界で考えてみると何十倍、何百倍の服がこの少ない間で捨てられているのでしょうか?SDGsが叫ばれる中、責務を負うグローバルアパレルブランドのSDGsに関する取り組みには注目が集まります。
昨年12月、「LifeWearという新しい産業を創出する」というビジョンを発表し、サステナビリティ領域における2030年度目標とアクションプランを発表した日本を代表するグローバルアパレルブランドのファーストリテイリング。
「よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよりよい方向へ 変えていくことができる」と信じて取り組みを行う同社が考える良い服とは一体なんなのでしょうか。「長持ちする服」、「適正な価格の服」、「素材や加工で地球に負荷をかけない服」、「労働者の人権が守られている服」…。おそらく人の数だけ存在するはずのその定義すべてに応えるものこそ同社が掲げる「LifeWear」です。
「LifeWear」が多くの人々の手元に届けば届くほど、 世界中の生活や社会がより豊かになる。そんな事業活動を目指す同社が、11月中旬にメディア・投資家に向けて、第2回「LifeWear = サステナビリティ」説明会を開催しました。LifeWearを新しい産業として掲げ、日本のアパレルシーンをリードする同社のこの1年間の取り組みの進捗が紹介された本説明会の内容を一部ご紹介します!
グローバルアパレルブランドが示す「つくる責任 つかう責任」
本会では、同社のリサイクル素材や、温室効果ガス排出量の少ない素材の使用推進など主要な取り組みに加えて、トレーサビリティの追求と透明性向上、ダイバーシティ&インクルージョンの推進などの取り組みの進捗が報告されました。
商品領域において同社取締役 グループ上席執行役員の柳生康治氏は、ペットボトルを再生したリサイクルポリエステルを、本体の生地の40%〜80%に使用したドライEXポロシャツや、回収したダウンから取り出したダウン・フェザーを 100%再利用したリサイクルダウンジャケットなど、従来の商品の取り組みのほか、1994年の発売からユニクロのコア商品として人気のフリースジャケットが、今年の秋冬シーズンよりペットボトルを中心としたリサイクルポリエステル100%に進化したことに言及。全使用素材に対するリサイクル素材・CO2排出量の非常に少ない素材の使用割合に関して、「計画通りの進捗でさらに取り組みを加速していく」という柳生氏のコメントの通り、2030年度までに50%とする目標に向けて、2022年企画商品全体で5%に上昇、着実に進捗していることが報告されました。
さらに同社は、LifeWearを大切に長く着てもらうための新サービスとして、9月に英国ロンドンで開設された「RE.UNIQLO STUDIO」を10月22日より国内のユニクロ世田谷千歳台店でトライアル開始したことを報告。
洋服のリペア、リメイク、さらにはリセールも視野に入れ、服を活かし続けたいという本取り組みは、自社に目を向け「つくる責任」を考えるだけでなく、日本のアパレルシーンを引っ張る存在として、「つかう責任」の重要性を消費者である私たちに教えてくれる取り組みなのでははないでしょうか。
正しい商品選択のための情報開示が目の前に
続いて同社グループ執行役員の新田幸弘氏は、トレーサビリティと透明性についての説明が。2022年秋冬シーズンより、工場と連携しシステム上で商品単位でサプライチェーン計画とその実績を確認する仕組みが構築されたことを報告。つまりいつどこでその服が作られ、どんなスケジュールで私達が目にするところまで運ばれるのか、その全てがシステムで管理できるようになったということです。
「2023年中に一部商品はECサイト上で縫製した国を公表し、素材生産国も公表する準備を進める。さらには25年中にほぼ全ての商品で、お客さまが正しく選択できるための情報を開示する」というコメントからも、私達ユーザーがその商品の情報を見て正しく選択できる日が近づいていることが分かりました。
その他にも説明会では、平和を願うユニクロのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」や、次世代育成の取り組みの一環で、錦織圭さんや国枝慎吾さんをはじめとするユニクロアンバサダーをゲストに招いて開催したジュニア育成のイベントなどの社会貢献活動を報告。加えて、ダイバーシティに関しての取り組みの実績として、2030年度末までにファーストリテイリンググループ全体で女性管理職比率を50%とする目標に対し、2022年8月末時点で既に43.7%にまで、比率が上昇していることが報告されました。
ファーストリテイリングによるサステナビリティ活動の拡大に注目
今回ご紹介できたのは同社のサステナビリティ活動のごくごく一部です。日本を代表するグローバルアパレルブランド、ファーストリテイリングだからこそ、その取り組みは多岐に渡り、私たちにも学びや気づき、更なる取り組みのヒントを与えてくれるものなのではないでしょうか。日本をリードする同社のこれからのサステナビリティ活動の拡大には引き続き注目です。