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「ウェルネス・トラベル」って何?2023年注目のメンタルケアの形とは


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3 すべての人に健康と福祉を
「ウェルネス・トラベル」って何?2023年注目のメンタルケアの形とは

2023年が始まって早くも1か月が経とうとしています。今年は健康維持について目標を立てた方もいると思いますが、健康は身体だけでなく、精神的な安定も大切。ここ数年はコロナ禍でその重要性はさらに増し、 SDGs目標3-4「2030年までに、予防や治療をすすめ、感染症以外の病気で人々が早く命を失う割合を3分の1減らす。心の健康への対策や福祉もすすめる。」を促す動きが出てきています。
今回は、日々を健やかに過ごしていけるヒントになるような、注目のメンタルヘルスについてトレンドを見ていきましょう。

2023年旅行のトレンド「ウェルネス・トラベル」

人気旅行サイトを運営するエクスペディアグループの「2023年の旅行に関する国際意識調査」によると、日本人旅行者の約50%は「以前よりも心身の健康を重視するようになった」と回答しています。しかし、2023年に最もやってみたい旅行中のウェルネスアクティビティでは、約30%が「わからない」と答えており、ウェルネス・トラベルへの興味はあるものの、具体的にどうしたらいいのか分かっていない人が多いというのが現状のようです。まだ曖昧な部分はありますが、世界の傾向では、ホテルでのサービスやウェルネス施設に期待していることが分かりました。

グローバル・ウェルネス研究所(GWI)はウェルネス・トラベルの市場規模がこの先、さらに拡大すると予測しています。ウェルネス・トラベルを提供するVacayouのCEOムルヤハル・モンテカルボ氏は、「コロナ禍によって健康志向の休暇を過ごすことに関心が高まった。」と話しています。そして、その内容は人によって異なり、ハイキングや自転車、スパやヨガ、国立公園などの野外で伸び伸び過ごすなど様々。推し活の一環で、好きなアイドルなどの聖地巡礼をする人もいます。明確な決まりはなく、自分の心が喜ぶ分野で旅を楽しむことができれば、それが理想のようです。
これまでの旅行のイメージは、身体の疲れだけを癒すようなどちらかというと受け身なものでした。そのうちに興味関心を満たすことのできる体験型ツアーを好む旅行者が増え、今はもう一段階先の心の健康をつくる旅へと進化しています。

TikTokで流行中の「villain era ヴィラン(悪役)時代」

villain era( 悪役時代)は、新しいセルフケアの形です。TikTokでは、たくさんの最新トレンドが生まれていますが、メンタルヘルスや自分の人生について考えるような投稿も多くあります。そのうちの一つが villain(ヴィラン)=悪役になってみようという呼びかけです。

例えば、自分がその気でないのに、友達の誘いをなんとなく断れない。または、予定があるのに残業を断れない。このような仕事上のストレスや対人関係でのプレッシャーが、villain era( 悪役時代)が強く叫ばれるようになった背景だといえます。つい他人の顔色を伺ってしまい、自分のニーズを優先することができない。そんないつも礼儀正しく振る舞ってきた人たちにヴィランになることを実践してほしいです。
新しい自分に生まれ変わり、自分の価値を正しく認識することは決して文字通りの「悪役」になることではありません。相手との境界線をきちんと設定し、自分らしく生きることです。

インナーチャイルドを癒す

インナーチャイルドとは「内なるこども」という意味。1993年にセラピストのジョン・ブラッドショーによる著作「インナーチャイルド―本当のあなたを取り戻す方法」にてその言葉が世界中に知られるようになりました。インナーチャイルドが心にある人は、年を重ねても成熟できずに対人関係にも支障をきたしてしまいます。
原因としては、幼少期のつらい体験が大きな要因で、大人から身体的、精神的な暴力を振るわれたりすると、負の感情が消化できないままインナーチャイルドが生まれます。
このインナーチャイルドが癒されていない場合に、人は孤独を感じやすく、自己肯定感が低くなります。感情をうまく出せないために、人の世話をしすぎたり、問題から逃げてばかり。とても生きづらい日々を送っている人が多いです。

対処法としては、当時の問題やそのときの感情を思い出してみるということがポイント。つらかったことをノートに書き出し、客観的に見て、嫌だったよね、可哀想だったね、と慰めてあげるのもいいでしょう。そうすることで、過去と現在を切り離して考えることができるようになるのです。
そして一番大切なことは、今まで溜め込んだ負の感情を乗り越えて、真の自分らしい人生を送り始めること。自分だけで行うのが難しい時は、カウンセリング(認知行動療法)を受けてみるのも効果的です。

不安・鬱・精神疾患をよりオープンに

いま、障害を公開した働き方「オープン就労」という選択肢があります。一緒に働く全員に障害について伝えておくことで、必要な配慮が受けられ、自分にとって働きやすい環境をつくる手助けになるとされています。例えば、通院の際は優先的に時間をとることが出来る、通院は欠勤扱いにならない、時差出勤や時短勤務、専用の備品を使えるなどです。このようなオープン就労の求人は探す段階から区別されていて、病気を持つ人でも応募しやすくなっています。また、セミオープン就労といって上司や必要な人にだけ障害をオープンにする方法もあります。 
持病を隠すことなく、公表していくことが求められてきた背景は何なのでしょうか。
近年、アメリカ精神医学会の定める診断基準(DSM)が改訂され、発達障害の診断がしやすくなり、そのものの認知度が高まってきたことから、見た目では分かりにくい障害を持つ人が増えたと言われています。訳も分からず生きづらかった原因が明らかになってきたことで、そのような性質を持たない人にも知識が広まり、オープンにしやすくなってきたということも一因かもしれません。

本当の自分に素直になり、これまでの生き方を少し楽にしてくれるような新しい考え方を見つけられたでしょうか。2023年も皆さんが健やかに過ごしていけることを願っています。